指名制度と電器屋さん

町の電器屋さんにできることは?

昔は家電を買うには…少し覗けば店頭に置かれているテレビで野球の中継が、相撲の取り組みが、プロレスの対決がみることができた「まちの電器屋さん」。

今、家電を買うには家電量販店、インターネット通販の利用が常套手段でしょうか。
実際自分も大いに利用しています。
そんなサービスが普及していく中で私がいま働いている大手量販店の看板を背負い、町の電器屋さんといったハイブリッドな環境の三山木電器をどうやったら最大限に生かすことができるか今一度考えてみようと思います。

弊社では何人ものお客様から「●●さん、今日いる?」と問い合わせが入ることが多々あります。そのスタッフも含めた会話の中で「なんだか指名制度みたいだね」と談笑することがありました。

入社したてホヤホヤで接客がうまくできなかった私は、なぜこんなにお客さんに人気なのかな…とそのスタッフとお客様との対話に聞き耳を立ててみました。

聞いてみるとお客様ととにかく仲がよかったので、『じゃあ私もお客様と仲良くなればいいのか!』と思いましたがなかなかそうはいきません。
来店されるお客様はほぼほぼ私の親と同世代。に加え私は接客もしたことがないペーペーの新米です。
当時齢18の私が人生の先輩方にいきなり馴れ馴れしく話そうものなら「なんだこいつ…年下のくせに、新人のくせに馴れ馴れしい奴だな…」となりかねません。

お客様と会話してみますが、「今日はいい天気ですね」「今日はあったかいですね」と定型文になってしまいます。 けれど人と話すこと自体に慣れていくのに当時はこの方法しかなく、人と話すことに抵抗はないはずなのに会話や仲良くなるということはこんなに難しいものなのか…と痛感しました。

見つけた!自分なりの接客スタイル

お店の元気印の店長と、指名率ナンバーワンのスタッフ。
顔なじみのお客様はこのお二人をよく指名されます。
果たして自分は覚えてもらえるのだろうか…。
うんうんと悩んで自分の接客スタイルの模索をしていたときにあるお客様が来店されました。そのお客様は過去に初めて私が家電の修理の手配をしたお客様でした。
お会計の際に恐る恐る「以前●●を修理に出されてました…よね?」と
とお声がけすると
「え!よく覚えてるね!おかげさまで不具合なく動いてます。」と嬉しそうにお話ししてくださいました。
私自身が修理した訳じゃないけれど、こういった会話でも、お客様は覚えてもらっていることを喜んでくださるのかな…?と自分の中で何かを見つけられた気がしました。
それから少しずつお客様と話していけるようになっていき、もっと仲良くなるにはどうすればいいかな…。とだんだんと目標が膨らんでいきました。

ある日のスタッフとの談笑に思わぬヒントが。
よく「自分その頃まだ生まれてないやろ!?」とツッコミをよくされることが多々あります。
そういえばお客様との会話で「自分若いのにそんな古いことわざよう知ってんなぁ」
と言われたことを思い出し、ただただ自分が生きてきた環境でそのまま育っただけなんだけどなぁ…と首をかしげながら話していたのですが、そうか!ここのお客様は私の親世代のお客様の方が多いのです。
なら私の育った環境(?)を生かし、自分の記憶力も使って会話していけばいいのかと自分の接客スタイルをだんだん作っていくことができ、おかげさまでお客様に名前を覚えてもらうことが増えていきました。

強みはお客様とのコミュニケーション

大型家電量販店は従事しているスタッフが多く、来店されるお客様も大人数です。
レジでお客様と談笑、会話するということは少ないし、まず商談とレジは切り離されているのが多いと感じます。
そのお客様が過去に何を買ったかというはデータ上で見ることはできますが、さっと開口一番「あ!●●さんこんにちは!」とお客様のお名前を呼んだり「この間購入された●●、調子はいかがですか??使い心地はいかがですか??」と気に掛けることは難しいのでお客様と仲良くなるきっかけがまず少ないように思います。
それでも大型家電量販店やネット販売は毎日利用者はあります。

そんな中で街の片隅にある三山木電器がどんなサービスができるのでしょうか?
それはお客様とのコミュニケーションを大切にすること。
当店の強みは接客、商談、お会計を一連して対応することでお客様と対話ができるチャンスがたくさんあります。

それに加え、施工も内部の人間が向かうことでお客様の家のことなど分かり、実際に使っている商品のことをダイレクトで聞くことが出来るのも非常に大きく、お客様とのコミュニケーションが存分に取れること。
そしてたとえどんなに小さな消耗品でも丁寧な接客をすること。
たとえ小さな安い商品だったとしてもお客様から「この間このお店で●●を買って…すごく丁寧に接してくれたから、この商品もここで買おうかな?」と次の商品を買っていただくきっかけになります。

そしてお客様からの意見や感謝の言葉を気兼ねなく伝えられるようなスタッフ同士の仲の良さも大切なこととも感じます。
お客様にもスタッフにもあたたかいそんなお店。

個人の“指名”からお店の“指名”へ
きっかけは特定のスタッフ=そのスタッフがいる“お店”そのものになります。
お客様と何げない会話ができるくらい仲良くなり、お客様の些細な要望に気づくことで家電やお店のサービスで提供できるものを提案していきお客様の生活を豊かにしていく。そんなお店にしていきたいです。

ねこ副店長

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